早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 総合機械工学科
上図は2013年度卒業生作品

宇宙構造物の構造と機構に
関する包括的研究

宇宙構造物の構造と機構について,宇宙構造物システムという観点から包括的な研究を行っている. 適応構造物のような構造概念の研究から,個々の構造要素研究や計測法までを含めて, 従来から提案されている宇宙システムの分類や,それらの特徴的性質の把握を試みている. それらの成果は科学観測のための伸展マストやインフレータブル伸展構造物などの開発に生かされ,さらにSSPSなどの大型宇宙構造物建造への応用などが試みられている.

高精度宇宙構造システムの研究

大型宇宙構造物に対して,軌道上での変形ゼロを目指して,高精度化に関する研究を行っている.具体的には,X線天文衛星や合成開口レーダの支持構造として利用可能な伸展トラスが対象.伸展トラスの展開再現性の向上,軌道上での人工的な熱膨張による形状制御,高精度変位計測装置など,システム全体の研究開発を実施している.

超大型宇宙構造物の建造と
ダイナミクスに関する研究

太陽発電衛星などの大型宇宙構造物, および月・惑星上構造物の概念および建造方法の研究をしている.柔軟構造物のダイナミクスとその制御や,インフレータブル構造物の構築,張力安定トラスの宇宙構造物への利用,モジュールの自律分散制御を用いた宇宙構造物の自動建造の検討なども取り扱っている.

軽量宇宙構造の機械特性及び
展開機構に関する研究

大型の太陽電池パドルなどに要求される軽量高剛性といった特性を有する 宇宙構造物の研究を実施している. 軽量なコア材としてマルチセルインフレータブル構造を利用し,その構造様式から検討を行い, 解析および試験によって,機械特性の評価・改良を実施している.さらには,インフレータブル構造として展開可能なサンドイッチパネルやSSPSなどの大型宇宙構造物への 応用を視野に入れて,軌道上でのロバスト性や形状の制御に関する検討も行っている.

モジュール展開構造物に関する研究

宇宙空間で大型構造物を構築するために設計製造された大型柔軟構造物を地上で事前機能実証試験を行う際,重力の影響や空気の影響を取り払うことはできず,また試験設備の大きさの制約もあるため,構造物の大型化とともに十分な試験を実施することが不可能になってくる.大型構造物をモジュール化し,モジュール毎に試験を実施することで試験が容易となり, コストダウンとともに構造精度や信頼性も向上する. モジュール展開構造物の考え方はASTRO-G搭載の大型展開アンテナに適用されている.ASTRO-G搭載の大型展開アンテナではさらに,鏡面精度向上のために新たに開発された構造様式であるラジアルリブ/フープケーブル方式を採用している.